福井県池田中学校生徒自殺事件:報告書から1年、元担任や遺族の心境

 福井県池田町立池田中学校2年だった男子生徒が2017年3月に自殺し、背景には教諭が大声で怒鳴るなどの過剰な指導があったと指摘されている問題。

 この問題では、町教委が2017年10月に調査報告書を発表した。発表から1年の節目となる10月15日、不適切指導に関与した一人とされた当時の担任教諭が共同通信の取材に応じ、また生徒の母親が手記を公表したと報じられている。

担任教諭の発言内容

 元担任教諭への取材は、共同通信が10月11日におこなったものだという。10月15日付で配信されている。

 配信記事によると、元担任教諭は2018年時点では学校現場から外れ、福井県の関連施設で勤務している。

 約20分にわたって取材に応じた元担任教諭は、以下のような内容を話したという。

 「何でこういう結果になってしまったのかという自問自答の繰り返し。答えは出ていない」。生徒の自殺以来、他の指導方法があったのではと苦悩してきたという元担任。「同じような指導でうまくいった子どももいた」とする一方で、「結果がこうなったので、良いやり方だったとは思えない」と口にした。

 報告書には「生徒は再三登校を嫌がり、家族に担任や副担任への不満を訴えていた。担任も対応を約束していたが、問題解決に向けた適切な行動をとらず、副担任とともに厳しい指導を繰り返した。その結果、生徒は逃げ場のない状況に追い詰められた」とも記載されている。

 元担任は「報告書が正しいかはお答えできない。人の受け取り方だ」とした上で、「自分の思いが子どもに伝わっていなかったのは事実」と述べた。生徒や遺族に対しては「申し訳なくて何も言えない」と話した。

(『自殺生徒の担任、過度の指導認める 池田中、「教師のエゴだった」』 福井新聞2018年10月15日)

母親の手記

 母親は、報告書の発表から1年目の節目を機に、心情を綴った手記を公表し、マスコミ取材にも応じている。

 手記では、「私達遺族の時計は、あの日から動くことはなく現在も止まったまま」「中学生ぐらいの子供たちを見かけるたび、涙があふれてきます。家の至る所に息子のいた風景があり、もう会えないんだ」などと遺族としての心情を綴り、再発防止策のために何をしていくべきか考えてほしいと訴えている。

 町教委については、教育委員会から遺族側への報告や情報提供が少ないことや、報告があっても口頭説明が多くて内容を把握しきれないなどとして、もっときめ細かな対応をしてほしいと求めている。

 また生徒の祖母はマスコミ取材に対して、「怒っているのでなく、あの子が学校でどうしていたかを知りたい。(再発防止に向け)意見を交わすことが、ほかに悩んでいる子を救うことにもつながるはず」と話したという。

報道内容から浮かび上がるもの

 生徒の遺族側は、事実関係をていねいに説明してほしいと求め、また再発防止策についても求めている。

 元担任教諭は、自分の指導が「行き過ぎた」指導だったかもしれないとは言及している。しかし、取材に応じるにあたって教育委員会側から何らかの指示や打ち合わせがあったのかどうかは不明だが、訴訟などの可能性に備えているのか、生徒指導の一般論としての差し障りのないことだけを発言して、自分が起こした個別の事例について踏み込まれて質問されると言葉を濁しているという印象も受ける。

 さらに検証を深め、遺族側に寄り添い、また再発防止のために何をしていくべきなのか、もっと深く考えていくべきではないか。

(参考)
◎自殺生徒の担任、過度の指導認める 池田中、「教師のエゴだった」(福井新聞 2018/10/15)
◎池田中2自殺、母親が悲痛な胸の内明かす 「子供見かけるたび涙」(福井新聞 2018/10/15)