吉村洋文大阪市長が2018年8月、全国学力テストの成績を教職員の人事評価に使用する意向を表明した問題。

記者会見する吉村洋文大阪市長。全国学力テストの成績を教職員の人事評価に使用する意向を表明(2018年8月2日)

この問題については現時点では吉村市長の意向表明があったという状態で、9月14日の総合教育会議で議題に上がる予定となっている。
吉村市長の意向について、大阪市内の教職員で作る教職員組合が9月12日に抗議集会を開き、市長に方針の撤回を求める決議を採択した。
NHKの報道によると、集会では以下のようなことが指摘された。
集会では、岡本共右執行委員長が「われわれは学業をないがしろにしているわけではない。大阪の教育は、厳しい環境にある子どもも、クラスの中で居場所がもてるように進めてきたが、市長の発言はそれを否定するものだ」と批判しました。
また、参加者からも、「市長の方針が子どものためになるとは思えない」とか、「教育は数字のみではかることができるものではない」などといった指摘が相次ぎました。(NHK大阪放送局『人事評価で組合が抗議決議』2018年9月13日)
全国学力テストを教職員の人事評価に使うことで、点数や平均点、学校間・地域間の順位のみに一面化・矮小化されたテスト対策や不正がはびこるのは、1960年代の全国学テの例でも指摘されている。
また2007年に導入された現行の全国学力テストや、各自治体が独自に実施している地域統一学力テストでも、学校評価などと結びつけられると、点数競争で通常の授業をつぶしてテスト対策の過去問・類題演習に充てたり、試験実施時の不正を生み出す事例が生まれている。
大阪市でもこのようなことにつながるのは必然的である。
吉村市長はこれらのことを指摘されると、「大阪市の教職員が不正をするとでも思っているのか」などと恫喝的な居直りもおこなった。しかし個人の意図とは関わらず、システムとして不正や不適切行為に追い立てられるのは自明である。