中学校給食「学校調理方式」新たに26校で導入:大阪市

 大阪市教育委員会は2018年2学期より、学校調理方式(自校調理方式と、近隣小学校で調理したものを運搬する親子調理方式のいずれかを、個別校の状況に応じて導入)での中学校給食を、新たに26校で導入した。

 市立中学校全130校中96校に拡大することになる。

中学校給食の学校調理方式への移行について
中学校給食の学校調理方式への移行について  大阪市教育委員会では、平成31年度の2学期までに市内全中学校において、学校調理方式での給食提供方法に移行する予定としております。 ※ 学校調理方式:親子方式(給食調理設備を有する学校で調理した給..

大阪市での中学校給食の経過

 大阪市では1970年代、同和行政の一環として、校区や周辺に同和地区を含んでいるとして、部落解放同盟の影響を強く受けた地域の一部の「同和教育推進校」にのみ、自校調理方式の中学校給食が導入されていた。しかし一般の中学校については「愛情弁当論」に固執し、中学校給食導入をかたくなに拒否してきた。

 1990年代までは、「同和教育推進校」以外の学校でも中学校給食の実施を求める請願が市民から出されても、会派として古くから中学校給食導入を求めてきた共産党だけが賛成し、他の会派は部落解放同盟系の議員も含めて軒並み反対してきた経緯がある。

 2000年代になり、部落解放同盟の影響を受けた不公正・乱脈な同和行政が問題化し、同和行政是正の一環として「同和教育推進校」での中学校給食が廃止され、大阪市では一度中学校給食が全廃された形になった。

 2007年の大阪市長選挙では、中学校給食導入を公約に掲げた平松邦夫氏が当選した。平松市長は4年間の任期中、橋下徹大阪府知事(当時)が「差等補助」として政令指定都市・大阪市への給食実施経費補助に消極的などの困難がありながらも、それまでは中学校給食に懐疑的だった市議会会派も給食導入支持に転じたことなどもあり、任期の最後になって、2012年度より選択制弁当給食方式での中学校給食を導入する予算を実現した。

 しかし予算通過直後の2011年大阪市長選挙で、市長が橋下徹に交代した。平松市政で実現した2012年度の中学校給食実施は、橋下市政のもとでおこなわれることになったが、いざ実施すると「おかずが冷やされた状態で出てきておいしくない」などの課題が顕在化し、利用率が低迷した。

 橋下市政のもとでは抜本的な解決をせず、全員喫食強制だと必然的に利用率100%になるという安易な発想で、そのまま弁当給食での全員給食制へと切り替えた。そのことによって、生徒からの不満は拡大した。また異物混入事案も相次いだ。

 しかし橋下は生徒からの不満の声にまともに対応せず、「食育だ。子どもは濃い味に慣れている。家庭でも味付けに配慮してほしい」「(給食を視察した市議が中学生から『おっちゃん、これ給食と違うで、餌やで』と給食のまずさについて訴えがあったことを紹介した議会質問に対して、中学生の表現の揚げ足を取り)自分の子どもなら叱る」「ご飯にふりかけをかければいい」など、本質とはかけ離れた対応をし続けた。

 これらの対応は当時、マスコミでも大きく報じられた。そして2015年8月の大阪市会「子ども市会」で、中学生代表の「子ども議員」から中学校給食に対する不満が多数取り上げられ、学校調理方式での給食に移行することを表明した。

 条件の整った学校から順次自校調理方式に移行し、また暫定的に弁当給食を続ける学校では一度選択方式に戻した。全中学校での自校調理方式への移行完了は2019年2学期を予定している。

 自校調理方式への移行は、方向性としては当然ではある。しかしその一方で、維新市政の不適切な対応によって、中学校給食の充実を遅らせたということは、忘れてはいけないことだといえるのではないか。