大学図書館建て替え、郷土資料などを大量廃棄:高知県立大学

 高知県立大学永国寺キャンパス(高知市)の大学図書館を建て替える際、「新館には蔵書が入りきらない」として約3万8000冊の本を焼却・廃棄処分にしていたことがわかった。

 廃棄された資料の中には、郷土史資料など重要なものも含まれていたという。

焼却処分の経緯

 「高知新聞」2018年8月17日『高知県立大学で蔵書3万8000冊焼却 貴重な郷土本、絶版本多数』の報道によると、経過はおおむね以下のようである。

 図書館の建て替えの際、建て替え後の新館は旧館より小さく、旧館で所蔵していた蔵書をすべて引き継げないとして、2014年~16年にかけて計13回にわたって断続的に、高知市の清掃工場で蔵書計約3万8000冊の焼却処理をおこなった。

 同じ図書を複数本所蔵している「複本」の整理が大半だというが、うち約6600冊については、同図書館にも元々1冊しか蔵書がなかったものを焼却したものだったという。

 焼却処理された中には、土佐藩の国学者・鹿持雅澄が著したものを大正・昭和期に発行した「萬葉集古義」(1922~36年)や、自由民権運動関連の史料、四国の植生についての調査結果、引き揚げ者など戦争体験者の聴き取りをまとめたものなど、郷土関係の蔵書も多数含まれていたことが指摘されている。

大学側の見解

 高知県立大学は2018年8月18日付で、報道を受けての見解を、ウェブサイト上で発表した。

重要なお知らせ - 高知県立大学ホームページ

 大学側の見解によると、おおむね以下の通りだという。

  • 図書館全体の広さは1.5倍にしたが、ディスカッションなどに使うグループ学習室や閲覧席の増加に面積を割き、蔵書収容能力は旧館と同程度にした。
  • 蔵書が今後も増え続けることを検討し、約3万8000冊の除却を決定した。
  • 学内の内規に基づいて除却候補を作成し、司書は専門の教員とともに検討した上で除却をおこなった。

 その上で、「県内の公立図書館や大学図書館、県民の皆様などにお知らせして、広く活用の道を探ることも必要であった」とも言及し、「課題を重い教訓として受け止め、しっかりと検証を行うとともに、公立大学の図書館として、貴重な財産である蔵書の適切な管理に努めてまいります」としている。

なぜこのようなことを?

 今回の措置はとんでもないことである。また、こんなことが起きること自体が、にわかには信じがたいという印象を受ける。

 大学側は報道について、図書館が建て替えで狭くなったとする部分については否定している。学習室や閲覧席を増やすことは重要なことではあるが、蔵書の収容能力についても十分な検討が必要なのではないか。

 蔵書が入りきらないから、将来増え続けるであろう蔵書のために場所を空けるからといって、郷土史史料などを安易に処分するという措置をとったことも信じがたい。