「学力テスト成績で教員人事評価」反対署名提出:大阪市

 吉村洋文大阪市長が2018年8月2日の記者会見で、「学力テストの成績を教職員の人事評価に使う」などとする方針を表明したことが、各方面から強い批判を浴びている。

 教職員組合や市民団体、政党、有識者などからは、吉村市長の方針を批判する声明が出されている。また大阪市に対する要請なども複数おこなわれている。

署名1万5000人分を添えて要望を提出

 うち、インターネット上で署名を集めていたグループが2018年8月14日、大阪市教委に対して前日までに集まった署名1万5000筆分を添え、方針を見直すよう求める要請をおこなった。

https://www.change.org/p/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%B8%82%E9%95%B7-%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%B8%82%E3%81%AF-%E5%AD%A6%E5%8A%9B%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E7%B5%90%E6%9E%9C%E3%81%AE%E6%95%99%E5%93%A1%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%B9-%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E4%BA%88%E7%AE%97%E3%81%B8%E3%81%AE%E5%8F%8D%E6%98%A0-%E3%81%AE%E6%96%B9%E9%87%9D%E3%82%92%E6%92%A4%E5%9B%9E%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%81%A0%E3%81%95%E3%81%84
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大阪市教委事務局は、「現時点では市長が記者会見で表明した段階であり、具体的なことは何も決まっていない」「今後、市長と教育委員が出席する総合教育会議を経て方針が具体化されることになる」として、要請を受けた時点では見解を回答できる状況ではないとしている。

教職員の声

 上述の署名・要請には、現役の大阪市立学校教員から集められた声も記され、添付されている。

大阪市の現役教員から寄せられた声
大阪市の現役教員から寄せられた声 教員は中立、公正公平の立場でいるべきだと思っています。でも、こんなことすると、お金で動いてる印象がついてしまいます。いい授業をつくろうとがんばっている先生が「学力あげてボーナス上げたいんでしょ」とうがった目で見られることも出て来かねません。生徒たちは均質で均一にのびていく存在ではない...

 教職員の声はいずれも、「吉村市長の方針で大阪市の教育条件がさらに悪くなる」「学力向上にはつながらないどころか逆効果になる」など、強く心配するものとなっている。

 現場で日々教育活動に向き合っている教職員からみても、吉村市長の言い分は「問題外」というべきものだと受け止められていることがわかる。

 このような方針をごり押しすることは、学力向上にはつながらないどころかむしろ逆効果だといえる。それどころか大阪市の学校教育現場全体に、これまで以上に著しい混乱と困難を招きかねないものとなっている。

吉村市長の反応

 吉村市長は8月14日のツイッターで、署名活動にも触れて市長方針を批判したネット記事に反応し、以下のような書き込みをおこなっている。

 全国学力テストについては、地域間・学校間の競争と序列化につなげることを目的として導入が図られた経緯がある。しかし世論の強い批判やそれを受けた国会質疑の末、文部科学省も表向きは「学力状況の把握」という名目にして導入し、その公式方針を堅持している状態にある。

 その一方で、平均点や地域別順位の公表方法については、「地域間の競争と序列化につながらないように配慮する」としながらも、実際は競争と序列化をねらう動きとのせめぎ合いとなっている状態が続いてきた。

 吉村市長のような動きは、想定されたものの中でももっとも最悪のパターンでもある。

 学力テストについては、地域別の順位をつけると必ずどこかが最下位になるということは避けられない。順位や平均点などは、ある意味では参考値にすぎない。唯一の基準として絶対視するようなものではない。

 順位や平均点に一喜一憂するより、大阪市の子どもはどこにつまづいているのか、全国的な傾向と比較して独自の特徴的な傾向はあるのかどうかなどをていねいに分析し、授業改善などにつなげていくこと、また点数だけではなく総合的な視点から「底上げ」を図っていくことなど、根本的な対策が必要になってくる。

 学校現場の条件を向上させるには、教育行政としてどのような支えが必要になってくるか。さらには学力状況と子どもの生活状況・家庭の経済状況などには一定の相関関係があるとも指摘されていることから、教育分野だけではなく社会福祉や市民生活などの多面的な視点からどのような対策が必要になってくるのか。これらのことを総合的に検討していく必要もある。

 しかし点数アップや地域間順位にだけこだわり、教職員の人事評価にも影響を与えるような施策では、「成績を上げるために、教師が生徒にテストの答えを教える・成績が振るわないと見込まれる生徒を当日欠席させたり採点から除外するなどの不正がはびこる」「過去問・類題演習ばかりして通常の授業ができない」「学力テストの成績によって学校間の格差ができ、一般の公立校同士でも『エリート校』と『困難校』に分化する恐れがある。学校のみならず校区地域への地域差別的な風評も懸念される」など、各方面にわたって異常なことが噴出することになってしまう。こういうことは防がなければいけない。


(続報)学力テストでの人事評価は不正を必然的に呼び込む (2018.8.17)

学力テストでの人事評価は不正を必然的に呼び込む
 吉村洋文大阪市長が、全国学力テストの成績を教職員人事評価に反映させるなどと表明している問題。この方針には、各方面から批判が寄せられている。  しかし吉村市長は、批判などどこ吹く風という感じで、ツイッターなどで「反論」を試み続けている...