学力向上対策で「特進中学校」設置構想:吉村洋文大阪市長

 吉村洋文大阪市長は、全国学力テストで大阪市の成績が振るわなかったとして、「成績を上げるため」として教職員への人事評価体制や「特進中学校」の設置などを8月2日の記者会見で打ち出し、その後もツイッターで繰り返し言及している。

「全国学力テストの結果を人事評価に反映する仕組み作りたい」大阪市長が見解
 吉村洋文大阪市長は8月2日の記者会見で、学力テストの結果を学校の人事評価に反映させる仕組みを作りたいという意向を表明した。  7月31日に全国学力テストの結果が公表されたことを受けたもの。大阪市では、政令市別の順位は2年連続で20都...

 うち「特進中学校」については、中高一貫校方式で市立高校に併設して、高度な内容を学習できる中学校を設置したいと表明した。

吉村洋文大阪市長(2018年8月2日)

記者会見する吉村洋文大阪市長(2018年8月2日)

「特進中学校」構想

 吉村市長が打ち出した「特進中学校」構想では、市立高校のうち、普通科系・商業科系・芸術科系高校計8校前後の敷地に、中学校を併設することを想定している。工業系高校と、総合系高校3校の統廃合で設置する計画の新高校(現扇町総合高校敷地に設置予定)については、設置対象から外している。

 大阪市全域から生徒を募集し、中学校教育として高度な内容を教授することを構想している。外部のいわゆる「難関進学校」とされる高校への受験にも対応できるようにするとしている。

公教育の破壊ではないか

 「特進中学校」構想がこのまま実施された場合、大阪市の中学校教育にさらなるゆがみが生じることになる恐れが高い。

 吉村・維新市政では、教育予算については、ICT・塾代助成など維新が「目玉分野」と位置づけている施策には重点的に投入する一方、日常的な教育予算がその分圧迫される形になっている。

 また学校教育全体の条件向上を図らず、教職員への締め付けや攻撃で乗り切ることを図ることで、教育条件が悪化の一途をたどっている。

 市立小中学校での学校選択制の導入、また選択資料として「全国学力テストの平均点」を導入していることで、学校間の競争なども図っている。さらには、「学校安心ルール」での生徒締め付けも図っている。

 全国学力テストでの教職員の成績評定という「禁じ手」に加えて、「特進中学校」の設置となると、一部の「エリート校」偏重のために競争がさらに激化するということにもつながりかねない。

 一部の「特進中学校」には予算を偏重する一方で、一般の市立中学校は軽視、「学力テストの学校平均点が低い」と言いがかりをつけて教職員のマイナス評定につなげていく――これでは学力格差が広がっていくだけだし、状況はさらに悪化することになっていく。

 吉村市長の提案は問題外であるが、愚にも付かない「思いつき」だけで教育現場を引っかき回すことは、いい加減やめさせなければいけない。