兵庫県姫路市にあった私立認定こども園「わんずまざー保育園」(廃園)で定員超過や給食を適切に提供しないなどの不適切保育がおこなわれていた問題で、同園に通っていた児童と両親が6月15日、元園長(46)に対して約120万円の損害賠償を求めて、神戸地裁姫路支部に提訴した。
事件の経過
「わんずまざー保育園」では、定員約40人に対して約70人の児童を受け入れるなど、不適切な経営をおこなっていた。市には正規の定員で届け出た上で、超過した分については園と保護者との直接契約をおこない、市にはその事実を伏せる手法だった。
また園児に提供する給食については、約40人分を約70人に分けるような形になっていた。児童一人あたり、必要量の平均3分の2前後しか行き渡らないことになり、おかずがスプーン1杯分などの状況になった児童もいた。
また、保育士数の水増しでの補助金不正受給などもおこなわれていた。
2017年2月に抜き打ち監査がおこなわれて事態が発覚した。
同園は年度末の2017年3月末で認定こども園の認可取り消しを受けた。同園は2017年3月末に休園となり、認可外保育施設扱いで書類上は存続していたものの、その後廃園届が出された。
児童虐待では
原告側によると、児童は給食が十分与えられなかったことで体重が増えず、また卵アレルギーへの対応もなかった、児童虐待だと主張している。
確かに、定員を大幅に超過した詰め込み保育や給食の量が大幅に少ないなどの劣悪な保育状況は、児童虐待として厳しく批判されるべきものである。
このような施設が存在したということ自体、問題ではないか。
廃園したことで新たな被害を生み出すことは回避されているとはいえども、当時在籍していた児童やその保護者に対する被害回復の対応も必要になってくるのではないか。
(参考)
◎少量給食、定員超過…姫路の保育園の園児両親ら、元園長を提訴(産経新聞 2018/6/15)