大阪市立デザイン教育研究所「3年連続定員割れの場合は廃校検討」方針

 大阪市教育委員会は5月21日、市立専修学校「大阪市立デザイン教育研究所」(大阪市阿倍野区)について、「3年連続定員割れの場合は廃校を検討する」という方針を明らかにした。

 同日開催された大阪市会教育こども委員会で、教育長が市議に対して方針を説明した。

デザイン教育研究所をめぐる経過:背後に「維新政治」の弊害

 大阪市立デザイン教育研究所は、1988年に開校した。美術・デザイン系の専門高校である大阪市立工芸高校を母体として同校に併設する形で、同校や他高校の造形系専門学科を卒業した学生に対し、専門高校での学習内容を踏まえてスムーズに接続する形で、美術・デザインの専門教育を実施する2年制の専修学校である。公立のデザイン系専修学校専門課程としては、日本唯一でもある。

 2013年6月、当時の大阪市長・橋下徹の意を受けた大阪市教育委員会が、デザイン教育研究所の廃校方針を打ち出した。2014年度以降の学生募集を停止し、在校生が卒業次第廃校にするとした。

 いわゆる「大阪都構想」に関連して、公立高校についても「大阪府立の高校と大阪市立の高校があるのは二重行政」と難癖をつけ、大阪市立高校を大阪府に移管する構想を出している。そのあおりを受け、市立工芸高校に併設されているデザイン教育研究所については、府に移管せずに廃校とする方針を打ち出した。

 しかし、学校関係者から廃校反対の声が上がった。また「当時の高校3年生が次年度入試を受験予定にもかかわらず、直前で入試が中止されることになるのはあまりにもひどい」という声も出された。これらのことを背景に募集停止は先送りされ、大阪市教委は2014年7月の教育委員会で「当面は入試を継続する」という方針に転じた。

 しかし橋下が「予算をつけない」などと市教委方針を恫喝するような言動をおこない、市教委は再び閉校を検討する方針に転じた。

 迷走した末に、「2018年度以降、市直営としては運営しない。運営する場合でも民間に委託する。その間に運営業者を公募する」という方針が出された。しかし名乗りを上げた業者はいなかった。そのことで2017年に民営化を断念し、「当面は市直営での運営を続ける」とする方針を出すなどしていた。

事実上の廃校方針強行か?

 大阪市立デザイン研究所は、2014年以降定員割れの状況が続いているという。単に4年制大学志向の高まりなどの要因にとどまらず、廃校方針をめぐる混乱によって受験生を敬遠させたことも、定員割れの背景にあるのではないか。

 さらに、3年連続定員割れで廃校を検討とは、大阪府立高校統廃合と同じような論理を使っているということにもなり、気がかりである。

 また維新市政では、大阪市立津守幼稚園(西成区)の廃止の際に、「幼稚園の需要があるというのなら、保護者として一定人数以上の入園希望者を集めろ」と筋違いの要求を突きつけ、保護者がその要求をクリアしても「廃止する」と強行した経緯もある。

 過去の事例をみても、嫌な予感がする。