大阪市の教育環境、維新が整備したのか?エアコン設置などをファクトチェック

 吉村洋文大阪市長(維新政調会長)は2018年5月18日、ツイッターに以下のような書き込みをおこなった。

 大阪市の学校での教育環境について、橋下市政以来の2代の維新市政で整備してきたと読めるような訴えである。

 しかしこれは、ファクトチェックが必要な案件。

クーラー設置は「維新のおかげ」ではない

 維新は、「2011年までの維新以前の市政は、ゴーヤやヘチマなどの壁面緑化ばかりやって、教室へのエアコン設置をしなかった」「エアコンをつけたのは橋下・維新市政」という主張を繰り返している。

 維新の支持者は、橋下徹の1代前の大阪市長・平松邦夫氏を「ゴーヤやヘチマ」などと持ち出して、まるでエアコン設置を拒否してきたかのように描いて揶揄してきた。吉村市長がツイッターでわざわざ「(ゴーヤじゃないよ)」と記しているのは、そういう揶揄に乗っていると受け取れるものである。

 しかし、エアコン設置にかかる維新側の主張は、不正確である。

 大阪市は維新市政以前の2000年代後半当時、ヒートアイランド現象の緩和やCO2排出削減などを図る目的で、校舎の壁面緑化やミスト散布などを研究し実施してきたことは事実ではある。しかし、大阪市会では市議が「夏場の教室が高温になりすぎて、学習環境が悪化している」「壁面緑化だけでは室温低下が追いつかない」などと、学校現場からの声を引いた質疑をおこなった(2010年11月29日決算特別委員会・自民党足高將司市議、2010年11月30日決算特別委員会・公明党高山仁市議、2010年12月2日決算特別委員会・共産党上野とき子市議など)。それらの背景もあり、大阪市会では、学校の教室にエアコン設置を求める決議が全会一致で採択された。

 その動きを受けて、当時の平松邦夫大阪市長が2011年9月にエアコン設置のための予算を提出し、全会一致で可決された。予算執行は2012年度になり、その間に大阪市長選挙があって市長が橋下徹に交代していただけである。

温かい中学校給食の導入を遅らせたのは、橋下・維新市政だといってよい

 中学校給食についても不正確。中学校給食は、2011年9月にエアコンと同時に導入予算がつけられ、2012年度よりデリバリー配送弁当・選択方式での給食が始まった。

 しかし実施してみると、配送弁当方式のためにおかずが冷やされた状態で提供されておいしくないなどの問題点が指摘され、利用率が低迷した。橋下は指摘された問題点には目を向けずに、そのまま全員喫食に移行させたことで混乱を拡大させた。初期には、常温でも食べられるパック入りレトルトカレーがそのまま出てくる(のちに汁物など一部は食缶方式に移行)などの状況もあった。また異物混入事案も相次いだ。

 橋下やその意を受けた教育委員会は、「ご飯にふりかけをかければいい」「食育」「家庭でも考えてほしい」などと見当外れのことを持ち出し、抜本的な改善をしなかった。

 そして2015年8月、大阪市会の夏休みの恒例行事「子ども市会」で、市内の中学生から選ばれた「子ども議員」から給食に対する批判が多く出て提言がまとめられた。「子ども市会」の様子は、マスコミでも大きく取り上げられた。橋下はやっと重い腰を上げ、学校調理方式(自校調理方式と、近隣小学校で調理して運搬する「親子調理方式」の併用)への移行を表明した。2018年時点では、弁当方式から学校調理方式への移行を段階的に進めている途中となっている。

 このことを考えると、橋下・維新が「温かい給食を導入した」と言えるものなのか、疑問が残る。むしろ、足を引っぱってきて不要に遅らせたのではないかとも思える。

「学力向上策」・塾代助成の見当外れ

 塾代助成にしても、効果が見当外れになっている施策の一つである。公教育の条件向上には費用を投資せず、その分を学習塾業者に流すような形になっている。

 また「底上げ」ではなく一部の生徒だけを対象とするような形となり、学力向上などの効果は見えていない。公教育に予算をつけ、学校設備を使用しての放課後学習教室など「底上げ」を重視する堺市と対比すれば、大阪市の効果の薄さが浮かび上がることになる。

 必ずしも全国学力テストの平均点や順位などの結果が学力のすべてを示しているものではないということに留意する必要があるが、全国学力テストでは堺市は比較的好調な状況に転じた一方、大阪市は低迷したままという傾向がある。

 ICTや「使える英語」にしても、一面的な教育観に基づいた見当外れのものとなっている。

維新の教育施策は軒並み見当外れ

 またツイッターに書かれていない分野でも、維新の教育施策によって「学校選択制」「統一学力テストの成績次第で内申点が左右される」「ゼロ・トレランス的発想に基づく学校安心ルール」「教育基本条例による教職員締め付け」「主務教諭制度」など、子どもの学びを阻害したり、教職員の労働条件を悪化させたりして、学校現場に悪影響を与えかねない施策が多数おこなわれている。

 大阪維新の会の教育施策は、学校現場に混乱と不要な困難をもたらすが、前進と言えるものはない。教室エアコンなどは別に維新独自の施策ではなく、前市政までの成果で、たまたま予算執行時期に維新市政に交代していただけである。