大川小学校津波訴訟、石巻市が上告方針議案可決:宮城県

2018年5月21日

 宮城県石巻市立大川小学校の児童や教職員84人が、2011年3月11日の東日本大震災による津波の犠牲になった事故。

 学校側の避難誘導に問題があったとして児童23人の遺族らが訴えていた訴訟では、石巻市議会は5月8日、学校や市教委の過失責任を認めた二審仙台高裁判決を不服として上告する議案を賛成多数で可決した。

上告に至る経緯

 この問題では、2018年4月26日の仙台高裁判決で、津波の予見可能性を認め、また学校側が組織的な「事前防災」に取り組んでいれば被害が回避できたと指摘した。当日の避難誘導のみに過失があったとした一審判決を変更し、事前防災の過失も認定して一審以上に学校や市教委の責任を認め、損害賠償額を約1000万円増額し、石巻市と宮城県に対して約14億4000万円の損害賠償の支払いを命じた。

 亀山紘石巻市長は4月7日、「想定できなかった大災害。校長らが専門家並みの知識を有する必要があるという判断も、学校教育に求めるのは非常に無理がある」として、上告の意向を示していた。上告方針承認の可否を問う臨時市議会を招集した上で、市議会で承認された。

 一方で宮城県は「石巻市の判断に従う」とする見解を示している。

上告は無理筋では

 この問題では確かに、市にとってはかなり厳しい判決とはいえる。

 しかしこの事故では、子どもの生命や安全を守るためには、学校側は専門家の知見なども参考にしながら、できる限りのことをしていく必要があると示していることになる。

 学校安全に一石を投じていることや、遺族感情などを総合的に考えると、上告の理由はないのではないかと思える。

(参考)
◎大川小津波訴訟、石巻市が上告へ 市議会が承認議案可決(朝日新聞 2018/5/8)
◎<大川小訴訟>石巻市議会、上告議案を賛成多数で可決(河北新報 2018/5/8)