保育基準検討の有識者会議発足方針:厚生労働省

 厚生労働省が、保育基準について検討する有識者会議を2018年5月中にも立ち上げる方針だと報じられている。

新聞報道

 朝日新聞2018年5月4日『保育の質、基準議論へ 保育士数や部屋の広さ、緩和も』によると、2018年3月の衆院厚労委員会での維新議員の質疑がきっかけとなったという。

 記事では具体的な日時や議員名を明記していないが、2018年3月23日の浦野靖人衆議院議員の質疑である。

 浦野議員は、国が定めた基準に自治体が独自基準を上乗せしていることに対して、「最低基準でやっている保育園の子どもと、どれぐらい育ちに影響するか、詳細なデータがほとんど取られていない」と疑問視し、加藤勝信厚労相が議論の場を設けるとする答弁をおこなっていた。

 朝日新聞の記事では、厚労省の有識者会議について「議論次第では、今より少ない保育士数や狭い面積など基準を引き下げる方向に進む可能性もある。」と指摘している。

保育基準切り下げを図る維新

 維新は、保育所の設置認可基準の緩和を求めている。保育所を作りやすくするとしながらも、実際は一人あたりの保育面積を狭めて同じ建物に多くの定員を受け入れることを可能にしたり、保育士配置数も減らすというものとなっている。

 大阪市では、従来は国の基準を大幅に上回る保育基準を策定し、政令指定都市ではもっとも手厚い自治体の一つともされていた。しかし維新市政のもとで独自に、国の定めた最低基準を下回る保育基準での保育を可能とする条例を作った。条例については附帯決議も出されて実際には適用されていないが、条例そのものは有効なままとなっている。

 維新は国会では野党だと標榜しているが、実際は安倍首相との関係も良好で、安倍政権の一番過激な部分を側面から支援しているような役割を果たしている。大阪でおこなわれたことを、国基準でも全国でおこなわれる危険性があることになる。

保育基準を下げるのは危険

 保育基準の問題であるが、保育団体がおこなった実証実験でも危険性が指摘されるなどしている。

 2013年4月に実施した実証実験では、わずか数時間だとはいえども、保育基準を切り下げた条件の下での保育室では、子ども同士が交錯したり、保育者の目が届きにくくなったりなど、危険な状況が指摘されている。

 また現場の保育士の声や、研究者の見解でも、国の最低基準でも不十分なのに、保育基準を下げるのは危険だとも指摘されている。

 「規制緩和」を求め保育の質の低下をねらう維新と、その意を受けた厚労省の有識者会議では、保育基準の緩和につながるような議論がなされるという心配がある。

 基準を切り下げさせないようにする議論や取り組みが求められている。