中学校部活動中の校舎転落事故、府中町に賠償命令:広島地裁

2018年5月21日

 広島県府中町立府中中学校で部活動中に校舎4階から転落して重傷を負い高次脳機能障害などの後遺症が残ったのは顧問教諭の安全配慮義務違反だとして、被害に遭った元生徒の女性と両親が府中町に約1億4800万円の損害賠償を求めた訴訟で、広島地裁は3月30日、町に対して約1億2000万円の支払いを命じる判決を下した。

事故概要

 事故は2009年に発生した。被害者は当時同校の2年生で、卓球部に所属していた。卓球部では当時、校舎4階の廊下に卓球台を置き、練習をしていた。

 顧問だった女性教諭は練習中、「換気のため」として、この女子生徒に対して廊下上段の窓を開けるよう指示した。

 指示を受けた女子生徒は、窓を開けようと校舎下段の窓枠によじ登った際にバランスを崩し、開いた窓の隙間から約10メートル下の地面に転落した。生徒は右目失明や高次脳機能障害などの後遺症が残った。

訴訟の経過

 訴訟では、町側は「生徒は、窓のひさしに落ちた球をとろうとして転落した」「教諭は、ひさしに落ちた球を生徒がとることを禁止していた」などと主張して争ったという。

 訴訟では、学校側が脚立使用を指示しなかったことなど、転落防止の安全配慮措置をとらなかったことを指摘し、学校側の安全配慮義務違反を認めた。

 転落防止措置をとらなかったことが安全配慮義務に違反していると認定されたことは、考えてみれば当然のことだとはいえるが、きちんと認定されたことは評価できることである。

 その一方で、訴訟での町側の言い分もひどいと感じる。これでは、教諭の不適切指示を隠蔽するために、生徒がおかしなことをした過失があるかのように嘘を言っていることになってしまう。

 府中町は控訴を断念し、被害者側に対して誠実な対応をすべきではないか。

(参考)
◎部活中転落1億1200万円賠償命令…広島地裁(読売新聞 2018/3/31)
◎広島 中学女子転落事故で町に約1億1千万の賠償命令(テレビ新広島 2018/3/30)
◎女子生徒転落で後遺症 町に1億1300万円賠償命令(テレビ朝日 2018/3/31)