「君が代」で再任用拒否は不当:大阪府立高校元教諭が提訴

 卒業式・入学式で「君が代」斉唱を拒否したことを理由として定年退職後の再任用を拒否されたとして、大阪府立高校の元教諭(61)が2月23日付で、大阪府に対して約550万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に提訴した。

 この元教諭は2017年3月に定年退職を迎えた。再任用を希望していたが、2017年1月に当時の勤務校の校長から呼び出され「今後、起立斉唱の職務命令に従うか」と問われたという。

 元教諭は「答えることはできない」と返答すると、大阪府教委は2017年3月、再任用拒否の決定をおこなった。

 起立斉唱の確認は思想信条の自由を侵害するものと訴え、精神的苦痛に対する慰謝料や、再任用教員として勤務した場合に得られたはずの給与相当額の賠償を求めているという。

 大阪府では、再任用の希望を出した教員はほぼ例外なく再任用されているという。生徒への暴力行為(いわゆる「体罰」)や飲酒運転などで重い処分を受けた人物でも再任用された。その一方で、再任用拒否となった数少ない教員については、大半が「君が代不起立」がらみだという。

 「君が代」については、歴史的な背景や外国ルーツの児童生徒への配慮など、様々な理由から、強制されることを拒否する考え方もある。国旗国歌法の国会審議の際にも、政府からは強制は望ましくないものとする見解が出されている。

 しかしその一方で、各地の教育委員会では、卒業式や入学式での日の丸や君が代の強制を、教職員や児童生徒への「踏み絵」扱いで強制するケースも多数生まれている。石原慎太郎以降4代の知事の下での東京都での強制が特に有名であるが、大阪府でも維新政治になってから強制の動きが強まっている。

 強制によって、「日の丸や君が代そのものについては肯定的・ないしは中立的だが、だからこそ意に沿わない相手の選別・排除の目的で、一方的に強制されることはおかしい」という立場からの強制反対の主張も生まれているともいう。

 授業や生徒指導など教員としての能力に問題がないのに、「君が代」への態度だけで排除するのは、思想信条の自由を侵害するのではないかといえる。

 訴訟では、適切な結果が出ることが望まれる。

(参考)
◎「君が代」起立めぐり再任用拒否 元教諭が大阪府を提訴(朝日新聞 2018/2/23)