高等学校次期学習指導要領改訂案を発表:文科省

 文部科学省は2018年2月14日、次期高等学校学習指導要領の改訂案を発表した。

 全体的にアクティブ・ラーニングを重視し、地理歴史科・公民科や国語科では科目構成を大幅に変更するなどが特徴となっている。

各教科・科目・領域の概観

地理歴史科・公民科

 従来の社会科を1994年に分割した地理歴史科および公民科は、次期指導要領でも引き続き2教科となっている。2教科とも従来の科目構成を見直した。

 地歴科では従来の世界史必修を廃止、世界史と日本史の近現代史分野(主に18世紀以降)を融合した「歴史総合」科目を新設して必修とする。「歴史総合」科目(2単位)と「地理総合」科目(2単位)の2科目を必修とし、選択科目として「地理探究」「日本史探究」「世界史探究」(標準3単位)の各科目を配置する。

 また公民科では従来の現代社会を廃止し、新科目「公共」(2単位)を必修とする。公共は「公共の扉」「自立した主体として、よりよい社会の形成に参画する私たち」「持続可能な社会づくりの主体となる私たち」の単元で構成されているという。従来も科目「現代社会」では社会事象を客観的に学ぶことに重点を置いていた一方で、科目「公共」では社会に参画していくためにどのように判断していくかに重点を置いている。主権者教育なども取り入れるとしている。

 一方で地歴・公民ともに、歴史を総合的に学ぶことや主権者教育などそのものは重要でも、国家主義的な意向が強化されるのではないかという不安も指摘されている。現場の教育実践でどれだけ対抗できるかがカギとなってくるのではないか。

国語科

 国語科では現行の必修科目「国語総合」を、「現代の国語」(2単位)「言語文化」(2単位)の2科目に再編、2科目を必修とする。

 「現代の国語」では実用文なども取り上げるとしている。また「言語文化」では古文や漢文の読解のみにとどまらず、古代から近現代に関する文章全般を対象とし、古典の解説文・伝統文化に関する論文・古典を翻案した小説なども取り上げるとしている。

 主に2年次以降に履修する選択科目は、「論理国語」「文学国語」「古典探究」に再編される。

 生徒の履修状況によっては、古典学習や文学的文章などの学習の機会が大幅に減るのではないかとも危惧される。

数学科・理科・理数科

 数学科と理科を融合した理数科を設定し、「理数探究基礎」「理数探究」の選択科目を設置し、理数関係に関する課題研究に取り組む。指導は数学もしくは理科の教員がおこなうとしている。

 理科では、生物で重要語句の単語数について、「生物基礎」で200~250語程度・「生物」では500~600語程度とする、歯止め規定が盛り込まれた。

総合的な探究の時間

 現行の「総合的な学習の時間」を「総合的な探究の時間」と改める。理数科「理数探究基礎」「理数探究」の履修によって総合的な探究の時間の全部または一部と読み替えることも可能とした。

特別活動

 ホームルーム活動、学校行事など特別活動の各領域を通して、社会参画や自治的能力の育成などがうたわれている。

道徳教育

 高等学校の場合は小中学校とは異なり、道徳を教科化することなどは見送られている。一方で「総則」では道徳教育についての規定を設け、道徳教育推進教師を設置し、道徳教育推進教師を中心に全教員が道徳教育に関わるように求めた。

 特別活動と、公民科「公共」「倫理」科目が、道徳の主な指導場面となるとしている。

全体的な印象

 全体的な印象としては、主体的に学ぶ能力や社会参画・自治などををうたいながら、実際は国家主義的な意向で統制していく方向性が強まっているのではないかという危惧も感じるものである。

 もちろん、主体的に学ぶ能力、社会参画、自治などの力は、大きく伸ばしていく必要があるということ自体には異論がない。しかしその一方で、教育行政のあり方がそういう主体的な学び、主体的な教育実践の条件を狭めることをねらってきたという状況も続いてきたのも事実である。

 現場の教育実践の取り組みを強めること、また主体的な学びを保障するにふさわしい教員配置や教育行政の転換など、多面的な研究と実践が求められるのではないかといえる。

 また高校の科目再編については、大学入試での入試科目の設定との兼ね合いもあるのもまた事実であり、大学側が入試科目として設定しない場合は高校での履修科目としてさほど重視されなくなるという実態も、それが良いか悪いかという問題は別としても起きることになる。入試科目がどのように設定されるかも気になるところである。