公立小学校で1セット9万円の「アルマーニ」標準服導入?:東京都の小学校

 東京都中央区立泰明小学校で、2018年度の新1年生から高級ブランド「アルマーニ」の標準服(制服)へと移行する方針が出されたことが、ネットニュースで報じられている。

 最小限のセットのみの購入でも現行の3倍前後の価格になり、任意選択での購入となるセーターなどや洗い替えの予備シャツなどを含めて一式そろえると9万円以上になるとして、保護者らが困惑しているという。

 ネットニュースサイト「ハフポスト」が報じ、2月8日には中央区教育委員会が一連の事実関係を説明する記者会見をおこなった。NHKなども報道をおこなっている。

公立小「アルマーニデザインの標準服」を導入 校長の独断、全部で9万、親から批判も
「大人の思惑ばかりが先立ち、子どもが置き去りにされている」

 泰明小学校は銀座の中心部にある。地域の定住人口減などの背景から、中央区全域から児童を募集できる特認校制度を設けているという。

 新標準服への移行は2015年頃から検討されていた。しかし2017年秋になり、「アルマーニ」の標準服に切り替えると突然発表された。

 標準服の選定にあたっては、教職員・保護者・地域住民の意向を聴く機会をほとんど設けないまま、ほぼ校長の判断で決めたとされている。

 校長によると、新標準服について、以下のような説明をおこなったという。

「時代の変化を体感させつつ、泰明小学校の児童であるというアイデンティティを育成していくための一環」

「これまでの歴史や伝統を守りつつ、小学校での『英語教育の導入』や、『地域との密接な連携』という新しい教育プログラムの導入と並行して行われていく泰明小学校の新しい時代に向けた変化であり、進化でもある」

「学校とは、学問だけでなく、倫理的な考え方や、集団生活でのあり方も同時に学ぶ場であると考えている。『服育』という考えに基づき、装うものからも学びの機会を得てもらいたい」

なぜアルマーニ監修の標準服に? 泰明小校長は、こう保護者に説明した(全文)
「銀座の街のブランドと泰明ブランドが合わさったときに、もしかしたら、潜在意識として、学校と子供らと、街が一体化するのではないか...」

 中央区教育委員会は「標準服の選定は学校が自主的におこなうもの」として、選定過程に特段の関与などはしなかった。

 しかし、新標準服の方針が公表されると、保護者からの苦情が学校や区教委に寄せられることになった。

 1セット9万円は高すぎる、しかも小学生だと在学中に成長に合わせて複数回の買い換えを要する、さらにきょうだいがいる場合も多い、といった費用面での指摘が出た。また選定プロセスを疑問視する声もあがった。

家庭の負担は?

 義務教育に関する家計負担について、公的な対応の範囲については現状では、授業料の無償が憲法上の範囲で、そのほかの諸経費については各行政の裁量の範囲だと解されている。とはいえども、教育行政としては、子どもが教育を受ける権利を保障するために、家計の経済負担を極力なくす・抑える施策を取ることが望まれていると理解されているものである。

 当該の学校は経済的に余裕がある富裕層の子どものみを対象にした私立ではなく、区立小学校である。地域在住の子どもをはじめ、学区外から特認校制度で来る児童も含めて、家計負担を極力減らすことが求められているのではないか。

 公立小学校の標準服については、全国的な一般的傾向でいえば、「私服の場合は服装が華美になって家計上の負担が高まる可能性がある。また家計状況が貧しい家の子どもの場合は、同じ服ばかり着ていることを理由にしたいじめにつながりかねない」といった理由を背景に導入された例も、それなりにあると聞く。標準服導入に結びつけるという結論が「正しい」のかどうかは別としても、導入を推進した側の論理としては、家計負担への配慮を挙げていることになる。

 一方でこの学校の場合は、高級ブランドで保護者に高負担を強いることで、区立小学校にもかかわらず特定の層を排除してしまうのではないかとも思われるような形になっている。都心部の歴史の古い学校だからといって、一種のエリート校化・ブランド校化を目指すような形になってしまっているのではないのかということになる。

 通常の公立学校で、高い経済的負担を保護者に強いるのは、やはり不適切といわざるをえないのではないか。