センター試験「ムーミン」問題:質問主意書への答弁書を閣議決定

 2018年大学入試センター試験の「地理B」で「ムーミン」や「小さなバイキングビッケ」を例示して北欧の国を答えさせる問題が出たことについて、政府は2月1日の閣議で、「センター試験に引用される資料の内容は、それ自体が教科書に掲載されていなければならないものではない」とする答弁書を閣議決定した。

 初鹿明博衆議院議員(立憲民主党)が質問主意書を出していた。

「ムーミン」問題

 この設問は、スウェーデン・フィンランド・ノルウェーの3カ国について、文化の違いを解答させる設問となっている。各国を舞台にしたアニメと各国語言語の正しい組み合わせを問うものとなっている。

2018年センター試験「地理B」問題
2018年センター試験「地理B」問題

 設問では、スウェーデンを舞台にしたアニメーション「ニルスのふしぎな旅」と「いくらですか」の意味のスウェーデン語を例示した上で、アニメーションについては「ムーミン」と「小さなバイキングビッケ」を示し、また言語は同じ意味に相当する2カ国語を示し、どちらかがフィンランドで別の方がノルウェーだとして、フィンランドに該当する正しい組み合わせを解答させる形式である。

 この問題については、アニメーションや言語の知識がないと解けないのではないかという疑問が湧いたという。

 しかし大学入試センターでは、アニメーションそのものに関する知識がなくても絵にヒントがあるから解答は可能とした。ムーミンについては背景の地形のイラストからフィンランドと導くことが可能、また「小さなバイキングビッケ」では人物の服装や船のイラストからノルウェーと特定可能とした。

 言語については、語族の知識から、スウェーデン語と酷似しているのがノルウェー語で、全く異なるのがフィンランド語とあたりをつければ解答を導けるとした。

 予備校などの問題解説でも「ムーミンはとりあえず保留し、小さなバイキングビッケの絵で特定すれば消去法で特定可能」としている。

 しかし、アニメの設定については、「ムーミン」はフィンランドの作家が書いたものではあるが舞台はフィンランドとは特定されていない、背景の絵で地理的特徴を特定するのは困難ではないか、また「小さなバイキングビッケ」では主人公が「スウェーデンから来た」と話す描写がある・「ヴァイキング=角兜」はステレオタイプで史実ではないなどの疑問が出た。

私見

 政府見解については、政府としては個別の試験問題の設問の適否を評価する立場ではないので、ここが落としどころなのかなとは感じる。

 教科書に掲載されていない資料を出題すること自体は、教科書の知識を活用して導けるような設問の構成である限り、それはそれとして当然ありうることである。実際に過去にも、各教科・科目の入試問題でそういう扱いをされてきた。

 今回の「ムーミン」問題については、出題者の意図としては、未見の資料を地理の学習範囲の知識で分析・考察して答えを導かせる方向で設問を組み立てたと推察される。

 しかしこの「ムーミン」問題については、出題した資料について、出題者側の解釈に誤りや不十分な点があったことで、資料の元ネタとなったアニメの設定とは齟齬が出て「出題者が設問上で、アニメに独自の設定を与えた」ような形になり、設問そのものの前提条件があやふやになっていることが問題になっているといえるのではないか。

 これでは、出題者の意図を忖度して解くしかなくなるのではないかということになる。「ムーミンはフィンランドが推しているからなんとなくフィンランド」という程度の雑学で解答するのが一番正答に近づく形になり、地理的知識で解くと疑問点が出る、アニメをヘタに知っているとアニメの設定と矛盾が出るということにもなってしまう。

(参考)
◎ムーミン出題、OKの政府答弁書 教科書未掲載資料でも(共同通信 2018/2/2)