センター試験「地理B」:設問設定は「厳密な意味で正確なものではない」

 2018年大学入試センター試験の「地理B」での北欧に関する設問に関して疑義が出ている問題。大学入試センターは1月18日、問題文中でアニメ「小さなバイキングビッケ」の舞台をノルウェーと設定したことについて、「厳密な意味で正確なものではない」とする見解を示した。

 一方で「知識・思考力を問う設問として支障はなかった」として、出題ミスではないとした。

 当該設問は、高校生「ヨシエさん」がノルウェー・スウェーデン・フィンランドの北欧3カ国を旅行して現地で気づいたことを旅行リポートにまとめたという設定のストーリーの大問のなかのひとつとなっている。

2018年センター試験「地理B」問題
2018年センター試験「地理B」問題

 文化や言語についてまとめたという設定の設問で、「3カ国各国を舞台にしたアニメーション」と「3カ国の言葉」のうち、フィンランドとノルウェーに該当する正しい組み合わせを選べというものだった。

 アニメーションの部分には「ムーミン」と「小さなバイキングビッケ」が選択肢として提示された。

 大学入試センターや予備校などがおこなった解き方の解説によると、「小さなバイキングビッケ」については、タイトルに「バイキング」が含まれていること、提示された絵での船や人物の服装をヒントにして、高校地理の学習範囲の知識で読み解くとしている。ヴァイキングはスカンジナヴィア半島一帯を拠点にしていた、ヴァイキングは1カ国に限定されるものではないが出題の条件が「フィンランドとノルウェーのどちらか」となっていることから、出題対象外のデンマークやスウェーデンは除外されて、またフィンランドには該当しないから(厳密にはフィンランドにもヴァイキングはいたとされるものの、高校レベルでは特に考慮しなくてもいい)ノルウェーと特定されるというプロセスで解答を導くとした。これによると、アニメや原作となった児童文学への知識がなくても、純粋に高校地理の知識と思考力だけで正答が導かれることになる。

 これだけをみれば、一見もっとものようには見えるし、実際にこのような解法で解いた受験生や高校の地理担当教師・予備校講師なども多かったのではないかと推察される。しかしその前提条件に大きな穴があったと指摘されたことになる。

 「小さなバイキングビッケ」では、ノルウェーが舞台と明示するような記述は見当たらないと指摘された。大学入試センターでも、ノルウェーが舞台と明確に断定できるようなシーンについては、見つけられていないことを認めているという。その上で、「設問の条件を単純化した」と主張する形になっている。

 一方で「小さなバイキングビッケ」は、スウェーデン人がスウェーデン語で書いた児童文学が原作となっているうえ、アニメでは主人公が「スウェーデンから来ました」と発言しているシーンがあるとも指摘されている。

 これでは「条件を単純化した」ではなく、「原作にない条件を勝手に付け加えた」とみられるべきではないか。

 設問自体は、アニメそのものの知識がなくても解けるという設計をねらったものとみられる。しかし出題したアニメや原作の児童文学に関する知識があると、非常にややこしいものとなっている。

 「小さなバイキングビッケ」だけでなく、もう一つの選択肢「ムーミン」についても、出題者側が想定した設定が誤っているのではないかという疑念が指摘されていることで、二重にややこしいことにもなっている。

 出題者が独自に作成して条件を設定したオリジナルの絵ではなく、実在のアニメーションをヒントにしたということは、たとえ解答には支障がなくても、実在のアニメーションの設定をなぞった設定を設問中でもおこなうべきではないのか。

 過去のセンター試験では、提示した資料の数値が誤っていたとして、当該数値の誤りは解答には直接影響がないものの問題の不備を認めたという事例もあった。今回の事案について、問題の不備を認めない方向に固執しているのもいかがなものか。